1990年代にサンデーサイレンス産駒が大舞台を席巻し、現在でもその孫たちが圧倒的なシェアと強さを誇る日本競馬界。
そんななか、主流ではないダートを主戦場とし、サンデーサイレンス系に負けず劣らずの成績を収める種牡馬がサウスヴィグラスです。
馬券的な意味で言うと、むしろサンデーサイレンス系を凌駕していると言っていいでしょう。
サウスヴィグラス産駒の狙い方
サウスヴィグラス産駒の主戦場はダートの短距離で、芝へ出走することは少ないですが、出走しても好走しないので買う必要はありません。
また、単勝100倍を超えるような馬は能力的に厳しい馬が多いので、狙いからはずすほうが好結果に繋がりやすいでしょう。
ダートで単勝100倍以内のサウスヴィグラス産駒は、2017年~2020年3月末までの時点で単勝回収率が95%・複勝回収率91%という好成績。ベタ買いでこれはすごいですね。
ただ、これだけではプラス収支にはなりませんから、さらに精度を高めるための狙い方を考える必要があります。
サウスヴィグラス産駒で買える条件は、
- 前走2着以下
- 叩き2戦目以降
- 前走で後方だった馬
- キャリアを積んだ馬
それぞれについて詳しく紹介します。
前走2着以下
サウスヴィグラス産駒で前走1着と2着以下だった馬の成績がこちら。
前走着順 | 出走数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝 回収率 | 複勝 回収率 |
1着 | 171 | 7.0% | 15.8% | 19.9% | 57% | 72% |
2着以下 | 1398 | 11.0% | 19.7% | 29.7% | 99% | 92% |
前走1着だった馬というのは、今回が昇級戦になります。つまり、サウスヴィグラス産駒は昇級初戦からは通用しにくく、クラス慣れが必要ということ。
前走2~5着と上位だった馬の好走率・回収率はともにいいので、反動が出やすいタイプというわけではないでしょう。
まぁ昇級戦となるサウスヴィグラス産駒はそう多くないので、あまり活用できる場面はないかもしれませんが、覚えておいて損はないポイントです。
叩き2戦目以降
サウスヴィグラス産駒は休み明けよりも叩いて良化するタイプが多く、休み明け(中12週以上)の成績がよくありません。
間隔 | 出走数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝 回収率 | 複勝 回収率 |
11週以内 | 1300 | 11.3% | 20.3% | 30.0% | 101% | 93% |
12週以降 | 276 | 6.9% | 13.8% | 21.4% | 60% | 76% |
叩き | 出走数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝 回収率 | 複勝 回収率 |
2戦目 | 211 | 11.8% | 19.4% | 27.5% | 86% | 95% |
3戦目 | 167 | 9.0% | 15.0% | 23.4% | 155% | 91% |
4戦目 | 124 | 7.3% | 17.7% | 30.6% | 61% | 115% |
5戦目 | 93 | 19.4% | 31.2% | 38.7% | 131% | 93% |
6戦目以降 | 272 | 10.3% | 19.1% | 26.8% | 71% | 87% |
さすがに何戦も使いこむとよくないですが、叩き2~5戦目あたりでもっとも高いパフォーマンスを発揮できるタイプです。
前走で後方だった馬
サウスヴィグラス産駒は前走の位置取りが後方だった馬の成績がいいです。
前走3角位置 | 出走数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝 回収率 | 複勝 回収率 |
1/2頭以内 | 1124 | 11.7% | 20.6% | 29.6% | 88% | 80% |
1/2頭以降 | 441 | 7.7% | 156.0% | 26.1% | 111% | 117% |
1/2頭以内(以降)とは、16頭立てなら3角で8番以内(以降)かどうかということ。
何番手で考えると出走頭数によって意味が変わってくるので、こういったまとめ方をするのは効果的です。
ただし、このデータは単純に使えるわけではありません。前走で後方だった馬で「今回も後方だった馬」の成績は悪く、成績を押し上げているのは前走は後方で「今回は先行できた馬」になります。
今回3角位置 | 出走数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝 回収率 | 複勝 回収率 |
1/2頭以内 | 201 | 9.5% | 20.9% | 33.8% | 168% | 173% |
1/2頭以降 | 240 | 6.3% | 11.3% | 19.6% | 64% | 71% |
つまり、このデータは普段は先行する馬が、前走は出遅れや内で揉まれて位置取りが後ろになって凡走した次走が狙い目ということを意味します。
これまで後ろからばかりだった馬が、突然先行するのを事前に読むのはさすがに無理ですが、近走の通過順はチェックしておきましょう。
キャリアを積んだ馬
サウスヴィグラスは米国型の血統になりますが、米国型の多くは早熟傾向にあります。
しかし、サウスヴィグラス自身は長期休養を挟みながらキャリアを重ねて強くなった馬で、産駒もキャリアを積むことでよくなる馬が多い。
キャリア | 出走数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝 回収率 | 複勝 回収率 |
10戦以内 | 1094 | 11.2% | 20.7% | 30.4% | 91% | 89% |
11戦以上 | 640 | 8.4% | 15.9% | 24.8% | 101% | 93% |
とはいえ、キャリアの浅い馬が走らないわけではなく、母方の血統によって早熟・晩成のどちらになるかを予測できます。
キャリアの浅いうちから走るのは母父が米国型の場合。キャリアを積んでから走るのは母父が欧州型の場合が多いです。
キャリア10戦以内の母父別の成績がこちら。
母父 | 出走数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝 回収率 | 複勝 回収率 |
米国型 | 361 | 13.3% | 21.3% | 30.7% | 121% | 95% |
欧州型 | 248 | 8.9% | 17.7% | 29.8% | 68% | 89% |
続いて11戦以上の成績がこちら。
母父 | 出走数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝 回収率 | 複勝 回収率 |
米国型 | 220 | 7.7% | 15.0% | 27.7% | 51% | 96% |
欧州型 | 170 | 7.6% | 15.9% | 22.9% | 143% | 92% |
母父がサンデー系は米欧型とは別なので、個別にデータを掲載します。
母父サンデー系 | 出走数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝 回収率 | 複勝 回収率 |
10戦以内 | 420 | 10.0% | 21.2% | 31.0% | 73% | 89% |
11戦以上 | 225 | 9.8% | 17.3% | 24.0% | 114% | 80% |
なんとも判断が難しい結果となっています。サンデー系の場合はその馬が米国寄りか欧州寄りかで判断するといいかもしれません。
本命にして好走したパターン
では、実際のレースで僕が本命にして好走したときのパターンをみていきます。
まずは2020年2月16日の京都12Rシャドウハンター(5番人気)。この馬は2走前に500万下で1着となり、前走は1000万下への昇級戦。
そこで1番人気に支持されていたように、素質の高さは認められている馬です。しかし、レースでは先行するも9着に凡走。
迎えた今回のレースでは人気を落としましたが、2番手から悠々と押し切り快勝しました。このときがキャリア10戦目で、母父はバリバリの米国型です。
なお、昇級となった次走でも1番人気で5着に敗れています。現時点ではその後にまだ出走していませんが、巻き返す可能性は十分。
しかし、母父からそろそろ陰りが見えてきてもおかしくありません。
続いては2020年1月6日の京都12Rアユツリオヤジ(7番人気)。
この馬はすでにキャリア30戦にもなるベテランで、母父はサンデー系でもスタミナ豊富な欧州寄りの血統であるスペシャルウィーク。
やはり2走前に500万下を制して前走の昇級戦で凡走。当時は2番人気でしたが1着から2秒も離される14着大敗ということで、今回は単勝25倍まで人気が急落しています。
しかし、普段は先行してる馬が前走では3角でほぼ最後方。ほとんどレースに参加していない状況でした。であれば昇級2戦目の今回はまだ見限れず、しっかりと先行して勝利しています。
なお、その後は1600万下で3連続大敗。どうやらここが能力的に限界なのかもしれません。
サウスヴィグラス産駒の特徴と狙い方のまとめ
サウスヴィグラスは惜しくも2018年に亡くなりましたが、産駒はまだまだ活躍しているので、ここで紹介したポイントを抑えておけばおいしい馬券を提供してくれるはず。
単純に100倍以内の馬を買うだけでも平均以上の成績ですから、相手を精査して買えばそれだけで勝てる可能性すらありますね。
これまでダート(の馬券)界を牽引してきたサウスヴィグラスの後を継ぐのは、ヘニーヒューズになる可能性が高いので、この馬の特徴も覚えておきたいです。

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