現在、つみたてNISAの口座開設数が300万を突破し、とくに20・30代の開設数が増加しているようです。資産形成を目指すなら、つみたてNISAはぜひ利用したい制度。
どの金融機関でも、つみたてNISAで運用した場合のシミュレーションを簡単にできますが、制度的にどうもそのシミュレーションはおかしいんじゃないの?と感じていました。
かといってつみたてNISAがお勧めなことには変わりませんが、シミュレーションの間違っていると思われる点について説明していこうと思います。
一般的な運用シミュレーション
ある金融機関でつみたてNISAの運用シミュレーションをしてみます。積立額は満額の33,000円、積立期間は20年、運用利率は5%です。
すると、積立額の合計792万円に対して、20年後の運用結果は1,356万円。運用益は564万円で、本来なら約20%の税金(約112万円)が引かれますが、つみたてNISAなら非課税になります。
どの金融機関でシミュレーションをしても、おそらく同じ結果になるでしょう。しかし、つみたてNISAの制度的に、これはちょっとおかしいんですよね。
非課税枠と非課税期間
つみたてNISAには非課税枠として年間40万円、非課税期間が20年というルールがあります。
制度が始まった2018年に40万円を積み立てたとすると、それを20年後の2037年までは非課税で運用できるということです。2019年は新たに40万円が積み立てることができ、2038年まで非課税に。
つみたてNISAはこれを繰り返し、2038年に最後の非課税枠が使用できて(現在は2042年まで延長された模様)、2057年まで非課税期間となります。
シミュレーションのおかしな点
各社のシミュレーションは、最終的な非課税期間が2057年にあることを考慮されていません。20年間の運用結果として、2038年に積み立てた金額はその年で運用が終了していることになっています。
これはおかしいですよね?
つみたてNISAなら2038年に積み立てた分は、2057年まで運用することができるんですから、19年分の運用益が考慮されていないのです。
途中年度の積立も同様に、20年間の非課税期間をフルに使った運用結果ではなく、徐々に運用期間が短くなってしまっているのです。
つまり、本来ならもっと長く運用することができて、運用益は増えることになる!ということ。
なんだ、じゃあ問題ないじゃないか…というわけで、つみたてNISAがお勧めなことには変わりないという話です。
各社のシミュレーションは単純に20年間の積み立てを行った結果であり、つみたてNISAのシミュレーションとしては成り立っていないことは覚えておいて損はないのでは。
つみたてNISAの本来の効果
つみたてNISAでどれだけ運用益が期待できるかは、各年の積立額を20年運用し、それを合計した金額のほうが正確だと思います。
例えば1年目の2018年に40万円、年率5%で運用できると仮定すると、20年後には約106万円になります。2年目の2019年も40万円が20年後に約106万円、2020年も20年後に約106万円…
投資では大きく上がるときもあれば下がるときもあるので、年率を一律で計算すること自体無理があるんですが、あくまでシミュレーションなのでそこは気にしない。
このように、つみたてNISAは40万円×20年を1セットとして、それを20回分繰り返すことになります。
すると、1回分の40万円は106万円になるので、20回分だと合計2,120万円。運用益は66万円×20回分で1,320万円になりますね。
2018年から2057年までトータル40年の運用で、このような結果になります。トータルではこうなりますが、約2,000万円がまとめて手に入るわけではありません。
非課税枠が終わった分を現金化していく場合、2037年から毎年106万円ずつ手に入るという感じですね。特定口座で引き続き運用もできるので、最後の非課税枠が終わる40年後まで運用を続ければ、トータル2,000万円以上にはなります。
いずれにせよシミュレーションのように毎年同じ成績になることはないので、あくまでもイメージとしての運用結果ということはお間違えのないように。
まとめ
つみたてNISAで想定される運用益は、一般的にされているシミュ結果よりも良くなる可能性が高いです。ただ、期間としてはトータル40年での結果なので、一攫千金なんてものは狙えません。
地道にコツコツと資産形成していく、まさにつみたてNISAは日本人が大好きな地道にコツコツを体現している制度やんな~と思いますが、あまり浸透していないのが不思議であり残念でもありますね。
口座開設とか最初は面倒ですが、設定さえしてしまえば後は放置するだけなので、ちょっとでも興味があるなら行動に移すことをお勧めします。

コメント