競馬には昔からよく言われる格言が存在します。
現在の競馬にも当てはまるのかは分かりませんが、たまには予想の参考にしてみるのも面白いかもしれません。
馬券の格言
まずは馬券に関する格言から紹介。
2頭出しは人気薄を狙え
レースでは同じ調教師が管理する馬が複数出走する場合があります。その際、人気のない馬のほうを狙えという格言。
その根拠は、仮に1頭が勝てると見込んでいるのなら、もう1頭は同じレースに出走させずに、他のレースを選択するほうが良いはず。
つまり陣営としてはどちらも好勝負が確信できるほどの自信はない、それなら人気のない馬を狙うほうがリターンが見込めるじゃないか!ということでしょう。
しかし2頭が同じ馬主だった場合、人気馬を勝たせるために有利な展開を作り出すラビット役として出走させる可能性も…
結局は陣営の思惑を読み取れるかどうかがポイントで、むやみやたらに人気のないほうを狙うのは得策ではないと思いますね。
長距離は騎手で買え
長距離の場合、道中の折り合いやペース判断が特に重要になってきます。そのため、長距離では経験のあるベテランジョッキーが信頼できるということです。
芝2400m以上である程度の騎乗数がある騎手の成績を調べてみると、単複回収率で共に優秀な数値を収めているのが以下の騎手。
- 蛯名正義
- 戸崎圭太
- 岩田康誠
- 北村宏司
- C・ルメール
- 武豊
いずれも名手が並んでいますね。
福永祐一は平均的、M・デムーロは平均以下、若手(?)の有望株である川田将雅・浜中俊も平凡な数値です。
これはあながち馬鹿にできない格言だと思いますので、長距離レースでは上記の騎手が乗る馬は注目しておきたいですね。
夏は牝馬・牝馬は格より勢い
これも昔からよく言われている格言です。
牝馬は身体の構造上から暑さに強かったり、体調維持が難しいために一度調子を崩すと立て直すのが難しいとされています。これに関しての僕の考えはこうです。
「馬による!」
2016年の前走3着以内だった馬の成績は、牡馬に比べて牝馬のほうが劣っています。
暑さに関しては確かに7.8月のみ複勝率が20%を超えていますが、牡馬を凌駕するかは微妙なところ。これを活かすにはもっと踏み込んだ分析が必要となりそうです。やらんけど。
2強対決は両雄並び立たず
競馬では2頭の人気が抜けている=2強と考えられるレースがあります。その際、その2頭で決まる確率は高くないよという格言です。
試しに、2強を1.2番人気の単勝オッズが3倍以下だった場合と考え、その2頭の馬連を買い続けた場合の成績を調べてみます。すると、的中率は約30%・回収率は約95%でした。すべてのレースで1.2番人気の馬連を買い続けた場合の的中率は約15%・回収率は約81%です。
この結果から、的中率・回収率ともに2強対決は圧倒的に優勢となります。しかし、2強の馬連が的中する確率は約30%ということは、70%はどちらかが3着以下になっているということ。
そう考えると、両雄並び立たずという格言はあながち間違ってはいないと言えますね。ただ、回収率でみたときは悪くないというのは意外でした。
最終レースは買うな
あまり馴染みのない格言ですが、面白そうなので取り上げてみました。
最終レースでは基本的に条件戦が多く組まれており、普段ならそこまで買われない条件戦にもかかわらず、最終レースは一発逆転を狙って穴狙いをする人が増えます。
これは行動経済学でも注目されていることで、これによって人気馬の配当は上がり、人気薄の配当は下がる現象が起こります。特に穴馬の単勝が過剰に売れる傾向に。
そのため、せっかく狙った穴馬が好走しても思ったほど配当が付かなくてガッカリ…なんてことになりかねません。
逃げ馬は人気薄を狙え
競馬でもっとも有利なのは逃げ馬で、実際に逃げた馬だけ買っていれば大儲けできます。そのなかでも、人気薄に妙味があるという格言です。
なぜなら、人気薄は力の劣る馬=直線で勝手にバテる、いつでも差せるという考えがあり、後方にいる騎手は人気薄の逃げ馬を相手にしません。
しかし、馬はストレスに敏感で、逃げることでストレスなく走れるのは想像以上のアドバンテージがあり、いつも惨敗するような馬でも一変するのです。
2016年の逃げた馬で、5番人気以内だった馬の成績は単勝回収率143%・複勝回収率108%に対し、6番人気以下だった馬は単勝回収率291%・複勝回収率159%と破格の数値に。
この格言は馬券を買う上で、常に考えておいてもいいくらいです。問題は、レースでどの馬が逃げるのかを、僕たちは確実に当てることができないということです。

競馬界の格言
ここからは馬券には直接関係ないですが、競馬界に関する有名な格言を紹介します。
格言というより名言ですね。
ダービー馬のオーナーになることは、一国の宰相になることより難しい
英国のウィンストン・チャーチルの言葉。
チャーチルは1940年に英国首相となり競走馬も所有していましたが、ついにダービーを勝つことはできなかったようです。英国の首相でさえダービー馬のオーナーにはなれない…重い言葉ですね(重いのか?)。
ですが、実際チャーチルがこの発言をしたという記録は残っていないそうで、他の人物の発言が回りまわってチャーチルの言葉になったそうです。
賞金なんか貰わなくていい。28頭立ての大外でもいい。邪魔なんかしない。頼むから出してくれ。そうすれば、どれが日本一か分かる
元JRA騎手・調教師の中野渡清一の言葉。
1977年、マルゼンスキーという1頭の怪物馬がいました。圧倒的な強さを誇ったマルゼンスキーですが、当時のルールでクラシックへの出走権がなかったため、ダービーに出走することができませんでした。
そのマルゼンスキーの主戦騎手だった中野渡清一騎手の悲劇を表した一言です。
1番人気はいらないから1着だけ欲しい
元JRA騎手・大西直宏の言葉。
騎乗技術は確かなものがありつつも、シャイな性格で乗り馬に恵まれなかったため、騎手としての成績は一流とは言えませんでした。しかし、自厩舎に所属するサニーブライアンとのコンビで、その名を全国に轟かせます。
1997年のクラシック初戦、皐月賞を勝ったのは人気薄のサニーブライアン。
人気馬が追込み脚質で、サニーブライアンは先行策から早め先頭で押し切ったものの、展開が向いただけとフロック視されていました。そして迎えたダービー当日。
皐月賞馬にもかかわらず、やはり6番人気の低評価だったサニーブライアン。
直線の長い東京競馬場でも積極果敢に逃げ、人気馬の猛追を凌ぎ切って見事に第64代ダービー馬の称号を勝ち取ったのです。
そしてレース後に出た言葉が「1番人気はいらないから1着だけ欲しい」でした。人気よりも勝つことが一番嬉しい、苦労人の思いが染みますね。
武豊の名(迷)言
競馬を知らない人でも名前は知っている、ご存じ日本競馬のレジェンド武豊騎手。
騎手としての成績もさることながら、そのユーモアに富んだコメントの数々で競馬場の外でも存在感を示します。
そんな武豊騎手の名言を紹介。
馬に「頑張れよ」と話しかけるけど、やっぱり馬の耳に念仏なんです。
そらそうよ。
僕を誰だと思っているんですか
2010年の落馬の影響で、以降は成績不振だった武豊。
しかし2014年は復調の兆しを見せ成績も上昇。そんななか、インタビュアーに「今年は調子が良いんじゃないですか」と聞かれたときに返した名言です。
あのニコニコした笑顔で嫌味なく言えるのが武豊騎手のスゴイところですね。
あなたにお金を借りた覚えはありません
パドックでファンに「金返せッ!」と野次られたときの一言。
実際パドックで返答したかどうかはわかりません。
良い馬ですよ。他の馬より脚が遅いだけ
日本競馬史上最高連敗記録を持っていた「ハルウララ」という高知競馬所属の馬に、武豊騎手が騎乗することになりました。
もちろん武豊騎手でも勝たせる事はできなかったのですが、レース後のコメントでこの一言を放っています。
ミルコは凄いですよ、岩田より日本語上手いです
2015年からJRA所属騎手となったミルコ・デムーロ騎手と日本人騎手である岩田康誠騎手を弄った一言です。
まぁ…確かに。笑
空気の読めないイタリア人がいたもんで…
2015年の暮れに行われた2歳G1、朝日杯フューチュリティステークス。このレースには武豊騎手のJRA全G1完全制覇の大偉業が掛かっていました。
このとき武豊騎手は素質馬エアスピネルに騎乗。レースでも抜群の手応えで直線抜け出し、後続をあっという間に置き去りにします。
が、ただ1頭、最後方から異次元の脚で追い込んできた2番人気リオンディーズにゴール直前で差し切られてしまいます。
そのリオンディーズに騎乗していたのが、イタリア人ながらその年にJRA所属騎手となったミルコ・デムーロ騎手でした。
レース後デムーロは「ユタカさんゴメンナサイ」と言いながらも、真剣勝負をした証でもあり、武豊騎手も冗談で返せるのが器の大きさを物語っています。
まとめ
馬券に関する名言は、そこに根拠がなければただのオカルトと同じです。それを信じて馬券を買っていたら財布が悲鳴を上げる可能性が高いので気を付けましょう。
競馬で勝ちたいなら、真っ当に勉強して立ち向かうことが重要です。

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